現在、のぼり旗に使用される素材はポリエステルなどの化学繊維が
主流となっていますが、かつては天然繊維も多く用いられていました。
そして今でも、その独特の質感を好む人が少なくないことから
天然繊維ののぼりには根強い需要があります。
のぼり旗の製作に使われる機会の多い天然繊維としては、
綿とキビラ麻の2種類があります。
このうち前者はワタというアオイ科の植物から採れる繊維で、
いわゆるコットンとして衣類にもよく使われています。
吸湿性や通風性に優れ、天然繊維の中では比較的価格が
安いのが特徴です。
一方、キビラ麻は苧麻(ちょま)というイラクサ科の植物が
原料となります。
わが国では縄文時代の遺跡からの出土例もあるほど、
古くから利用されてきた繊維です。
身近なところでは、日本料理店ののれんなどに使われているのを
よく見かけます。
両者に共通して言える特徴は、どちらも伝統的な素材であることから
和風柄によくマッチするという点です。
神社の祭礼や、レトロ感を出したい商店の店頭などに
よく掲げられています。
また、どちらも生地が厚手のため文字などを入れる時は
手刷りが基本となりますが、それがまた独特の風合いを生み出します。
一方、両者の違いとしては、総じてキビラ麻の方が綿よりも
目が粗い仕上がりとなっている点が挙げられます。
適度な透け感があるため、かき氷や水ようかんなど、
暑い季節の食べ物などを宣伝するためののぼり旗に
使用すると、涼し気な雰囲気を演出できます。